星野桂一。星野画廊50年史 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

妖しい女

 

図書館で偶然A5版図録風の『星野画廊50年史(2023)青幻舎』を目にし驚きました。星野画廊は星野桂一氏が京都に開設された個人画廊で、永年にわたり(自身の眼で)知名度によらぬ画家の紹介に努めてきたこと。特に「忘れられた画家」の発掘してきたことで知られている。

 

このブログでも紹介した、知人コレクターI氏が蒐集する増原宗一などは、まさしく星野画廊によって認知された大正の日本画家です。増原は若くして亡くなったため長らく忘れられていましたが、近年では大正時代を代表する画家の一人として展示されることが多くなってきました。

 

星野画廊50年史(2023)青幻舎

 

『50年史』は、年代ごとに開催された展覧会が掲載されていて、和洋画にかかわらず星野氏の識眼にかなった作品が展示された。また、岡本神草「拳を打てる三人の舞妓の習作」は、行方不明となっていた切断された残存部分を、星野氏によって発見(1987)されたことを本書によって知った。

 

岡本神草「拳を打てる三人の舞妓の習作

 

おもに京阪の明治以降の画家を中心に紹介されてきたようで、増原宗一や岡本神草らのような「妖しい作品」が多く掲載されている。ちょっと洲之内徹の個人コレクションを思い浮かべるが、星野氏はよりパブリックな蒐集と、忘却画家の紹介に腐心されている。志のある商売というべきで頭がさがる。